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門司港で常連さん
関門海峡。
本州の下関と、九州の門司港の間にある海峡。

この門司港側に頑固な大将が気まぐれに開いている常連さん限定の飲み屋がある。
そこの頑固な大将、いやマスターと呼ぼう。常連さんはみなそう呼んでいたから。
マスターのその日の気分次第で、開店時間も閉店時間もまちまち。
メニューだって何が出るかわからない。
機嫌のいい時は、客が注文すると急に姿を消して、どこに行ったかと思いきや市場にまでその注文の品を仕入れに行ってしまう。
マスター不在の、客だけの店となってもなんの混乱も困惑も不思議もない。
そもそもマスターがいるのに、客は勝手に飲みたいものを棚から出して飲んでいる。
そんな「一見さんお断り」の、別の意味でとっても敷居の高いお店に、観光客なんて絶対に入ることなんてできないお店に、ひょんなことから初めて会った地元の人に連れて行かれた。
そして次の日にはもう「常連さん」と常連さんたちに呼ばれて迎えられてしまった。


そのひょんなこととは、門司港から下関まで、海底トンネルを通って歩いていこうとしていた時のこと。
入り口の道を確認するために、たまたま近くで観光用シャトルバスを止めて車体を拭いていたおじさんとなぜか目が合って、おじさんが「にっこり」笑ってくれたので、道順を聞いてみた。
運転士のおじさん曰く、もう夕方だから人道トンネルの入り口まで歩いて行くのは寒いしちょっと遠い、その方面に行くバスも終わっているから今日はやめておいた方がいい……
それなら、それならば、おじさんのバスはどこを回るの? このシャトルバスで市内を観てみようかな、ということでシャトルバスに乗り込んだ。

シャトルバスは、地元の人もよく利用している。当然、運転士さんとは顔見知りの人も多い。
そこで、ちょっと聞いてみた。
ウニが食べたい、ふぐが食べたい。安くておいしくて肩の凝らないお勧めのお店はないかな、と。
まじめな運転士さんはあまり外では飲んだり食べたりはしないらしく、う〜ん、どうかな、どこがいいかなあ、とのこと。
で、途中からバスに乗ってきた地元の主婦らしき女性に相談。
印象からすると、その類いのお店には詳しくはなさそうだった。
すると、「私たち地元の人間が普段行ってるお店だけど……、キレイじゃないけど……」
そこでよければ行く? という話になって、喜び勇んで連れて行ってもらった。

確かに、キレイという雰囲気ではない。カウンターには「本日、貸し切り」との張り紙がぶら下がっている。
それはいつものことで、マスターが気に入らないお客さんを断る時のテらしい。

結局、マスターは、せっせとポテトサラダを作ってくれた。
常連さんに言わせると、機嫌のいい日にしか作ってくれない名物ポテトサラダだった。
「合格」したようだ。

2日間通って、ご飯よりいくらの方が多かったいくら丼、白いご飯が見えないくらいのうに丼、お皿いっぱいに盛られたふぐ刺し、とろりとろけそうな岩牡蠣、香り豊かなひれ酒、などなどマスターの気分次第で変わる豊富な海の幸の数々をたっぷりと味わった。びっくりするくらいの格安な値段で。

マスターの帰り際の言葉が嬉しかった。
「もう、常連さんだからね」
常連さんたちの言葉が嬉しかった。
「新人さんなのに、常連さんだからね。すごいね」

ドアを閉めても、マスターの声がずっと聞こえていた。
「ありがとね、ありがとね、またね」



posted by: masumi | | 16:41 | comments(0) | trackbacks(0) |
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